旭化成セラピューティクスは、2026年4月に現社名へと変更。アンメットメディカルニーズの解決を目指すグローバルスペシャリティファーマとして、国内外において事業を展開しています。国内では、整形外科領域をはじめとするさまざまな領域において、患者さん一人ひとりに貢献する価値創出に取り組んでいます。
同社は、営業活動記録・報告を中心とした従来のSFAを見直し、蓄積されたデータをMRの「次のアクション」へ活かすCRM基盤としてDigiPro CXを採用しました。単なるシステム刷新にとどまらない、組織変革の武器として進化し続ける本プロジェクトの舞台裏について、御担当の3名様に伺いました。
■「報告のための記録」からの脱却 — 導入前の課題
オムニチャネル化が進む一方で、旧システムにはMRと組織の双方にさまざまな課題がありました。
入力負担の壁
「報告のために入力する」という意識が根強く、MRにとって入力作業は少なからず負担となっていました。また、操作性やレスポンス速度の面でも、より快適に利用できるシステムが求められていました。
情報の属人化と
重複業務
SFAとは別にExcelやWordによる管理が常態化し、担当者ごとに個別の資料が作成されていました。その結果、貴重な情報が属人化し、十分に共有・活用されない状況が生じていました。特に転勤時の引き継ぎ資料の作成は、MRにとって大きな負担となっていました。
データ活用の壁
入力されたテキストデータは報告のために利用されることが中心で、その後の活用は限定的でした。MRが蓄積した活動知見も個人の経験や資料に留まりやすく、組織の財産として活用し切れない構造的な課題を抱えていました。
旧システムの課題について語るプロジェクトメンバー
数ある中から「DigiPro CX」を選択した理由は?
医薬ICTグループ
竹見 氏
システムリプレイスにあたり、主要なメガパッケージを含む3〜4社を約半年かけて比較検討しました。コストパフォーマンスに加えて、当社として重要視した判断基準は以下の3点でした。
1 システムの柔軟性確保
標準パッケージを前提とした製品では、自社で培ってきた固有の営業ロジックを手放すことになりかねません。そのため当社は、多額の改修コストや開発時間の増大を回避するとともに、システム主導による業務の固定化を防ぎ、当社の営業戦略や業務プロセスを柔軟に反映できる拡張性を最優先としました。
2 柔軟なカスタマイズ性
「標準機能に業務を合わせるか、独自の営業ロジックを守るか」。私たちは後者を選びました。既存システムを前提に、自分たちの手で業務プロセスを設計・進化させていける「余白」があることが最大の決め手でした。
3 MRが使うことを念頭に置いた操作性
現場の入力を促すためには、機能だけでなく、操作性やシステムのレスポンス速度が重要だと考えました。同業他社からも「快適に操作できる」という評判を得ていた点は、MRの入力ストレスを解消できると判断する大きな根拠となりました。実際、リリース後には「操作レスポンスが速いのでオフライン接続かと思った」との声も寄せられており、期待通りの効果を実感しています。
■「システムはユーザーであるMRのためのもの」
今回のプロジェクトを成功に導いたのは、ICTグループと営業企画部による7名の混成チーム体制でした。
医薬ICTグループ
高橋 氏
「システム部門が作って提供するのではなく、業務部門とシステム部門とで両者が対等にタッグを組まないとMRには浸透しない」
システムは、ユーザーであるMRのためのものです。システム部門だけで一方的に作って提供するのではなく、業務部門である営業企画部と、システム部門であるICTグループの両者がタッグを組んで検討を重ねていかなければ、要件の認識にズレが生じるだけでなく、MRへも浸透しません。これが本プロジェクトにおける基本思想でした。
営業企画部
竹内 氏
「『単に報告・管理をするシステム』ではなく、『いかにMR活動の武器になるか・MRに還元することができるか』」
営業企画部の立場として、MRに依頼する業務は当然ありますが、直前まで営業現場でMRとして務めていた経験を活かし、システムありきではなく、常に現場目線の意識を忘れず、設計を組み立てることを心掛けました。
また、システムの定着にはMRの理解と納得が
不可欠と考え、
リリース直前には営業企画部主導でMR向けの
導入説明会を実施しました。
説明会では「データを入力して終わりではなく、自分たちの次の活動をより良くするためにシステムを活用しよう」というメッセージを丁寧にMRへ伝え、システム活用の意義を浸透させることにこだわりました。
■導入後の効果と意識変革
運用開始から間もないものの、MRの意識は「やらされる入力」から「自ら活用するためのデータ入力」へと着実に変化しつつあります。
二重管理からの脱却と標準化
日報入力やスケジュール管理が一本化され、転勤時の引き継ぎ資料作成負荷も大幅に軽減される見込みです。いつ誰が異動しても、高精度な情報を確実に引き継げる環境が実現できたと自負しています。
現場目線の運用ルールが早期定着につながる
開発段階から営業企画部が主導して現場目線の運用ルールを定め、リリース前に入念な説明会をしたことで、新システムへの移行はスムーズに進みました。「報告のための入力」から「自分たちの活動をより良くするための入力」へと、MRの意識が着実に変化している手応えを感じています。
マネージャー層の覚悟
営業現場を率いる支店長や所長からも「自分たちの活動をより良くするために活用していこう」という前向きなメッセージが発信されています。こうしたマネージャー層の姿勢が主体的な入力や活動を後押しし、前向きな組織風土の醸成に繋がると感じています。
■「ポジティブスパイラル」が導く次の営業活動
本格稼働を迎えた今、私たちが目指すのは集約されたデータを活用する次のフェーズです。
蓄積された質の高い顧客データに生成AIなどの先進技術を掛け合わせ、MRの次の活動を支援する仕組みの検討を進めています。また、現在導入を検討しているAIロールプレイと DigiPro CX との連携など、単なる営業支援システムではなく、営業活動を高度化させる基盤として進化させていきたいと考えています。
情報を入力する
→営業活動の質が上がる
→成果が出る
→さらに良いデータが蓄積される
このポジティブスパイラルを組織全体へ定着させることが目標です。インフォコム社と共に現場から寄せられる要望にも向き合いながら、営業活動を支え、次の一手を導く頼れるパートナーへとシステムを進化させていきます。